Team(社員紹介)
「誰かと繋がり続けられる」の実現を

介護事業部 くらしと介護サポート課 スーパーバイザー
岩崎 円香
Madoka Iwasaki
2023年
ひとつの後悔が原点です。介護職として特別養護老人ホームで働いていた最中に、祖父ががんに罹患しました。けれど在宅介護の知識が足りず、自宅で看取ることができませんでした。同じような経験をする人が少しでも減ればいいと思い、地域包括支援センターの相談員へ転職しました。
目指していたのは、敷居の低い相談窓口をつくること、そして地域の社会資源を生み出すことです。介護予防の啓発、相談窓口のアウトリーチ、多世代が交わる場づくり、認知症の方の居場所づくり。網目の細かい地域をつくろうと、9年間走ってきました。

転機はコロナ禍でした。それまで私が一番価値を感じていたのは、対面で顔を合わせて築く関係です。ところが感染症の流行で、その顔の見える関係が途絶えてしまい、初めて非対面という選択肢を真剣に考えました。
非対面であれば、場所や身体の状況、時間に縛られずに繋がりを保ち続けられる可能性があります。誰かと繋がり続けられる手段を増やしたいという想いがハッチヘルスケアへの入社につながりました。
私は一生、介護職として現場で働き続ける人間だと思われていたので、驚かれました。でも、繋がり方はひとつではないと気づいたことが、私にとっては大きな一歩でした。
ハッチヘルスケアは、がん・介護・ヘルスケアデータ領域で、人生によりそうサービスを展開しています。私が携わるのは、介護領域に特化した「くらしと介護サポート」です。電話を中心に、チャット、メール、Web面談と、専門家への相談窓口を複数用意しています。
また、1分ほどの簡単な質問に答えると、状況に応じた介護のやることリストが生成される「かいごだんどりメーカー」を提供したり、介護・生活支援に関する民間サービスのご紹介もするなど、くらしと介護サポートの内容は多岐にわたります。
要介護者を支えるご家族からの相談が中心です。介護はまだ始まっていないけれど、いざというときに備えておきたい、という声も多いですね。また、介護中であっても、困りごとを正しく伝えられていないため適切な支援に結びついていない方や、介護保険サービスに対して間違った認識をしているがゆえに、現場の支援者さまとの間で対立が生じているように感じるケースもあります。そういった意味で、支え手であるキーパーソンの支えになること、ご家族の介護理解を深めること、そして現場の支援者さまとの間で起きているすれ違いをときほぐすことを心がけています。介護が少しでも円滑に進むよう、お手伝いしています。
電話相談を行う介護コンシェルジュのリーダーとして、相談業務に加えて、新しいコンテンツが立ち上がった際に、運用フローを整えたり、トークスクリプトを作成したりしています。また、サービス品質の向上を目指して介護コンシェルジュチームの研修の実施、相談者さまからいただいた改善のお声を開発チームへ届けて、より良いサービスになるサイクルを回しています。
正直もどかしさを感じることもあります。現場のように足を運んで直接支援することはできないので、情報提供のみでお役に立てているのか不安になることもあります。それでも、ハッチヘルスケアのサービスだからこそできることに手応えを感じています。
ひとつは、ご家族の抱える不安をじっくり聞くこと。もうひとつは、中立的な立場で状況を整理することです。介護の現場では、「介護が必要なご本人」の話をじっくり聞く時間はとれても、支え手であるご家族の不安なお気持ちをじっくり聞くことに時間を割くことが難しい現状があります。家族支援は現場で働いていたときに「もっと時間をかけたいけど、そこまで手が届かない」という領域だったので、ここでは支え手であるご家族の想いに時間をかけてよりそうことができることに価値を感じています。また、私たちは現場で直接的な支援を行うことはできませんが、現場の支援者ではないからこそ利害関係を気にせず気軽にご相談いただけるということもあると思っています。どちらも現場では難しかったことで、やりがいに繋がる部分でもあります。

悩みを誰かに相談するのは、実はとても勇気のいることです。「こんなこと相談していいのかな、嫌な反応をされたらどうしよう」――そんな気持ちを抱えながら、勇気を出してかけてくれた電話ばかりです。その声がやわらいで、次の一歩を踏み出す気持ちになってくれたとき、私も一緒になってほっとします。ふと孤独を感じて沈むときって、誰にでもありますよね。そんなときに、ちょっと寄りかかれる存在になれたら嬉しいです。
介護・福祉の世界は、「気づいたからには責任がある」と、時には誰もが目を背けたくなるような現実にも踏み込み、制度だけでは救えない隙間の支援を行う人によって支えられています。ゴミ屋敷の片付けから始めて、ようやく介護保険のサービスが入れる状態にすることもありました。ライフラインが止まった方の手続きを手伝うこともあります。入院中の方のペットの世話をしたこともあります。どれもマニュアルには書かれていない現場の人たちの善意によって成り立っているものです。
その善意は、本当に尊いものだと思っています。だからこそ、頑張る人がきちんと報われて、続けられる形にしていけたらいい。福祉という仕事の価値が、もっと正しく伝わってほしいんです。
この状況を改善するためには、早い段階から関わる必要があります。ゴミ屋敷も生活の困窮も、ある日突然そうなるわけではありません。少し早く気づいて、少し早く繋がれていたら、と思うことが何度もありました。相談の中で「寝たきりや認知症じゃなくても介護保険の申請ってできるんですか?」という言葉をよく耳にします。本当は支援が受けられる状態なのに、そのタイミングで支援体制を整えることができなかったがゆえに、状況が複雑化してしまう。そのような状態に至るまで、自力でなんとかしていたんだな、という状況を想像すると苦しい気持ちになることもあります。
だからこそ、「まだ介護は必要ない」という段階からご相談いただき、正しい知識を持って、自分なりに介護に備えるお手伝いや、後手に回る前に手を差し伸べられる存在に、そして介護・福祉を使う側の理解を育てる役割にも、非対面という形で貢献できないか模索しています。現場の実務を肩代わりすることはできなくても、支え手のさらなる支えになれることを探し続けたいと思っています。

少数精鋭のチームですが、ケアマネジャー、社会福祉士、看護師など、それぞれが多彩な現場経験を携えた頼もしいメンバーです。
介護・福祉の領域が好きな人。人の話をじっくり聞ける人。さまざまな価値観を受け入れられる人。現場経験を活かして、新しいサービスを一緒につくっていきたい人。そして、客観的に物事を見ることができる人です。
何より、人が好きな方と一緒に働きたいですね。
正直、大きなキャリアビジョンがあるわけではないんです。私はきっと、いつか現場に戻る人間なんだろうなと思っていて。広い範囲に影響を与える仕組みづくりよりも、自分の手の届く範囲で深く関わっていく。お金ではなく、心で繋がる関係をつくりたいタイプなんです。
だからこそ、現場に戻ったときに、こういうサービスがあってよかった、と思えるものを、いまここでつくっておくこと。地域だけでは抱えきれないことが起きたとき、頼れるサービスを残せたら。介護・福祉の業界全体の発展につながる何かを、ここで生み出せたらと思っています。